もし,コンピューターウイルスがこれからも長い歴史を刻んでいくとしたら,その年表中の大きなターニングポイントとして,メリッサは記されるだろう。そしていつの日か,我々は感慨深く思い出す。現在のウイルスに関するものはすべて,メリッサから始まったのだ,と。
今年3月に猛威をふるったコンピューターウイルス「メリッサ」の作者として起訴されたデビット・スミス被告(31)は9日,有罪答弁取引において,有罪を認めた。これによりスミス容疑者は,最大10年の収監と40万ドルの罰金が課される可能性がある。米国で初めて起訴されたウイルス作家は「被害を及ぼしてしまったことは疑う余地もない」と全面的に罪を認めている。
メリッサ,その出来事を思い出すことは,とてもたやすい。3月26日に発見されてから,爆発的に増殖し,マイクロソフトやインテルなどのメールサーバーをストップさせた(ZDNet Newsの記事)。当日のうちにアンチウイルスメーカーが製品を対応させたが,勢いはとどまらず,3日ほどで世界中へと蔓延。4月1日にスミス被告がFBIによって逮捕される怒濤の展開となった。
結果的にネットワークで伝播するのではなく,最初からネットワークを伝播手段として利用することを意図したメリッサの登場は,鮮烈にも感じたが,当然のことのようにも思えた。その後,脅威を感じさせているウイルスはすべて,メリッサと似た手法でメールソフトを利用して伝播したり,最近はチャットソフトを利用して伝播したり…(過去記事)。繋がっていることが当然となり,断ち切ることが考えられない現状で,それをきちんと把握して,利用する。このウイルスのカタチは,これからもずっと続くだろう。そしてその始まりとして,メリッサという出来事があったことを,我々は記憶しておく必要がある。
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